Citations:明瞭

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Japanese citations of 明瞭

  • 1892, 北村透谷, 他界に対する観念:
    禅学は北条氏以後の思想を支配し、儒学は徳川氏以後の思想を支配したる事は史家の承諾する事実なるが、この二者も亦た他界に対する観念の大敵なり、禅は心を法として想像を閉ぢ、儒は実際的思想を尊んで他界の美醜を想せず、この二者の日本文学に於ける関係は一朝一夕に論ずべきものにあらずと雖、その他界に対する観念に不利なりし事は明瞭なる事実なり。
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  • 1894, 井上円了, 甲州郡内妖怪事件取り調べ報告:
    かくて、この群衆のうちより、だれにても問いを発する者あるときは、怪声のこれに応じて答うること、すこぶる明瞭にして、なんぴとにもみな聞こえ、ただにその声の発源と思わるる所より四、五間の距離において、明らかに聴き取られしのみならず、隣家まで聞こゆるほどにて、その状あたかも人が談話するに異ならず。
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  • 1895, 坪井正五郎, コロボックル風俗考:
    幾分かはアイヌの云ひ傳へたるコロボックルの昔話しのみに徴して知るを得べく、幾分かは古物遺跡の研究のみに由つて知るを得べけれど、兩者を對照して考ふる時には、一方を以て他方の不足を補ふことも有るべく、相方一に歸して想像を慥にすることも有るべく、互に相俟つて一事を證することも有るべく、石器を遺し、コロボックルの名を得たる此古代人民の風俗は一層明瞭と成るべきなり。
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  • 1900, 押川春浪, 海島冐險奇譚 海底軍艦:
    彼は私よりは四つ五つの年長者で、從て級も異つて居つたので、始終交るでもなかつたが、其頃校内で運動の妙手なのと無暗に冐險的旅行の嗜好なのとで、彼と私とは指を折られ、從て何ゆゑとなく睦ましく離れがたく思はれたが、其後彼は學校を卒業して、元來ならば大學に入る可きを、他に大望ありと稱して、幾何もなく日本を去り、はじめは支那に遊び、それから歐洲を渡つて、六七|年以前の事、或人が佛京巴里の大博覽會で、彼に面會したとまでは明瞭だが、私も南船北馬の身の其後の詳なる消息を耳にせず、たゞ風のたよりに、此頃では、伊太利のさる繁華なる港に宏大な商會を立てゝ、專ら貿易事業に身を委ねて居る由、おぼろながらに傳へ聞くのみ。
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  • 1902, 正岡子規, 病牀六尺:
    名所旧跡などいふ処にはこのやうな写真帖が出来て居る処もあるがその写真帖はただ所々の光景を示したばかりでそれぞれの位置が明瞭しないので甚だその効力が薄い。
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  • 1904, 河口慧海, チベット旅行記:
    この種族はその古代神話の伝説の通りに果たしてヒマラヤ山中から生れた土着のものであるか、あるいはそうでないかという事は、今明瞭にいう事は出来んけれども、その言葉の上から考えますとチベット語でもなくまたインド語でもない。
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  • 1906, 石川啄木, 葬列:
    そこで今自分は、一年中最も楽しい秋の盛岡――大穹窿が無辺際に澄み切つて、空中には一微塵の影もなく、田舎口から入つて来る炭売|薪売の馬の、冴えた/\鈴の音が、市の中央まで明瞭響く程透徹であることや、雨滴式の此市の女性が、厳粛な、赤裸々な、明哲の心の様な秋の気に打たれて、『ああ、ああ、今年もハア秋でごあんすなッす――。
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  • 1909, 若山牧水, 古い村:
    雲も無い空は峯から峯の輪郭を極めて明瞭に印して、誠に強烈な「夏の靜けさ」に滿ちた日であつた。
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  • 1910, 白鳥庫吉, 倭女王卑彌呼考:
    修史局の編纂に係る『國史眼』には、『魏志』の行程を明瞭に記述せざれども、投馬の名を設馬の誤となし、之を薩摩に當てたるによりて之を推すに、不彌國より以下邪馬臺に至る行路は、九州の西海岸を經由せしものと考察せしなり。
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  • 1912, 長塚節, :
    俄商人はカンテラの光明と木陰の薄い闇との間に立つた其の姿が明瞭と見極め難いので、頻りに目を蹙めつゝ求められる儘に筵の端に立つて西瓜を出して遣る。
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  • 1914, 夏目漱石, こころ:
    先生から明瞭な手紙の来ない以上、私はそう信ずる事もできず、またそう口に出す勇気もなかった。
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  • 1915, 素木しづ, 青白き夢:
    しかしお葉はまだ自分の手や足や胴がどこに置かれてあるのだかわからないし、自分が今何をして来たのだかも明瞭しない。
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  • 1916, 河上肇, 貧乏物語:
    右の表によりて見る時は、われわれの所要熱量は労働中と休業中とによりて大差あり、また労働の種類によりて大差あることが、きわめて明瞭である。
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  • 1917, 大杉栄, 新しき世界の為めの新しき芸術:
    此の「諸説」は、日本ではまだ或る理由から、さほど明瞭には「紛々」としてもいないが、若し民衆芸術に就いての議論がもっと盛んになり、或は其の議論の実行が現われるようになれば、どれほど「紛々」として来るか分からない。
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  • 1918, 近松秋江, 箱根の山々:
    嘗ては宮の下から大地獄の方を巡つて湖尻から舟に乘り駒ヶ岳を仰ぎながら箱根町に着いたことがあつたが、それはもう今から十二三年も昔のことで、明瞭な印象が殘つてゐないが、去年の時くらゐ湖水の色を美しいと思つたことはない。
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  • 1919, 牧野信一, やぶ入の前夜:
    ――その時初めて正吉は自分の顔をだら/\と流るゝ血潮と、今のが夢だつたのだ、といふことを明瞭に感じた。
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  • 1920, 南部修太郎, 疑惑:
    同時に數へる聲も次第に力を失つて行き、明瞭さを薄くして、助手の力強いバスの聲の響が高まつて行くのとは反對に、數が十、十一と重なるにつれて弱くかまれて行くのだつた。
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  • 1921, 芥川龍之介, 将軍:
    が、その答弁は参謀の心に、明瞭ならば明瞭なだけ、一層彼等を間牒にしたい、反感に似たものを与えるらしかった。
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  • 1922, 内藤湖南, 日本文化とは何ぞや(其一):
    しかし、是は或る少數の古い國、埃及とか、支那とか、印度とかいふ者を除いては、理由なき謬想であつて、例へば、兒童が生れ落ちてから、漸次智慧が附いて來る年頃は、年長者から導かれ教へこまれることが、其の智識の基礎になることは明瞭なる事實であるが、其の兒童が成人した後、自己の智識の根本に就て自慢を有し、自己の智識は最初から他の智識を選擇するだけの識見を具へてゐて、年長先進者の智識を自己に同化し、以て今日の發達を來したと云ふことを主張したならば、何人も其の無稽なることを嘲笑せざるものはないであらう。
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  • 1923, 北一輝, 日本改造法案大綱:
    「註」ハ固ヨリ説明解釋ヲ目的トセルモ、語辭悉ク簡單明瞭、時ニハ只結論ノミヲ綴リシ者アリ。
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  • 1924, 戸坂潤, カントと現代の科学:
    このような考え方は勿論厳密な概念に到達することは出来ぬとしても主なる関係を順次に追求することによって問題を明瞭に解決し得ることとなるであろう。
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  • 1925, 豊島与志雄, 香奠:
    彼がちょいちょい意識の明瞭な折に、断片的に云った言葉をよせ集めて、想像してみますと、彼は九月頃から時々足部の麻痺を感じていたらしいんです。
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  • 1926, 葉山嘉樹, 海に生くる人々:
    ハッチが水を飲むということは、文句なしに、簡単|明瞭に船体の沈没を意味するものであった。
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  • 1927, 甲賀三郎, 支倉事件:
    一、只今自分の事件とせられとる事は因藤裁判長が庄司利喜太郎に対し秩序を立てゝ、しかとした御訊問さえ下さりゃ、すべてが明瞭になるのであります。
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  • 1928, 岡本綺堂, 妖怪漫談:
    支那にも、我国にも怪鳥という言葉はあるが、さて何が怪鳥であるかということは明瞭でない。
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  • 1929, 折口信夫, 古代人の思考の基礎:
    日本の神典を見て、一番困ることは、神と神でないものとの区別が、明瞭でない事である。
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  • 1930, 三木清, 認識論:
    もしかくの如くであるならば、プラトンの認識理論が少くとも單なる模寫説でないことは明瞭であらう。
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  • 1931, 海野十三, 麻雀殺人事件:
    帆村探偵の説はあまりに明瞭なので、検事と警部は感歎する言葉もなく黙ってしまった。
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  • 1932, 長岡半太郎, 物理學革新の一つの尖端:
    これと前後して明瞭になつたことは、原子が陽電氣を帶ぶる核と、陰電氣を帶ぶる電子の或る數からできてゐて、陰陽相均しき場合に普通の状態に在ることである。
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  • 1933, 木下尚江, 臨終の田中正造:
    けれどもこの「谷中村の破壊」と云ふ一語に何が含まれて居るかを明瞭に知る者は殆ど無い。
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  • 1935, 徳田秋声, 仮装人物:
    その原稿が彼女たちの運命にとって、いかに重大な役目を持ったものであるかが、その秋破産した良人や子供たちとともに上京して、田端に世帯をもつことになった葉子の話で、だんだん明瞭になったわけだったが、そっちこっちの人の手を巡って、とにかくそれがある程度の訂正を経て、世のなかへ送り出されることになったのは、それからよほど後のことであった。
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  • 1936, 北條民雄, いのちの初夜:
    いったい俺は死にたいのだろうか、生きたいのだろうか、俺に死ぬ気が本当にあるのだろうか、ないのだろうか、と自ら質してみるのだったが、結局どっちとも判断のつかないまま、ぐんぐん歩を早めていることだけが明瞭に判るのだった。
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  • 1937, 西田幾多郎, 善の研究:
    聯想とか思惟とか複雑なる知的作用に至れば、なお一層この方面が明瞭となるので、普通に聯想は受動的であるというが、聯想においても観念聯合の方向を定むる者は単に外界の事情のみでは無く、意識の内面的性質に由るのである。
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  • 1938, 倉田百三, 青春の息の痕:
    私は天香師のそばにいたおかげで、自分の心の願が今どのくらいなものかを知り、その姿を明瞭に見るようになりました。
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  • 1940, 幸田露伴, 努力論:
    併しこれとても惜福の工夫を缺いたならば、水産山林と同樣の状態に陷るべきは明瞭である。
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  • 1941, 高田力, ベーシック英語:
    、進んで此等の重要なる基本的語彙のみを以て、それ以外の多くの複雜なる内容を持つ語の意味を明瞭に言ひ表はし得ることに想到した。
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  • 1942, 石原莞爾, 最終戦争論・戦争史大観:
    戦闘群の戦術では明瞭に分隊――通常は軽機一|挺と鉄砲十何挺を持っている分隊が単位であります。
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  • 1943, 波多野精一, 時と永遠:
    しかるにこの觀念は、古き榮えある傳統にも拘らず、甚しく意義の明瞭を缺き、殆ど學問的使用に耐へぬ嫌ひがある。
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  • 1945, 太宰治, お伽草紙:
    」と頬杖をついたまま、にこりともせずお婆さんの顔を、まじまじと見つめながら、こんどはやや明瞭に言ふ。
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  • 1946, 今井邦子, 佛法僧:
    潺々たる谷川の音にまじつて今そこに鳥が來たかと思ふ許りに近く明瞭にあやしく鋭い夜鳥の聲は、待つてゐた樣に聞えて來たのである。
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  • 1947, 風巻景次郎, 中世の文学伝統:
    生地についても素性についても諸説があって明瞭を欠くのは、その出身があるいは庶民の間にあったからかも知れない。
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  • 1948, 石川三四郎, :
    ところが、その『人道』とは何ぞや、といふことになつて簡單明瞭な説明が見當らず、私が訪問すると、すぐにその質問です。
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  • 1949, 坂口安吾, スポーツ・文学・政治:
    四百米四六秒という独逸のハルビッヒの記録などを見てもスプリント走法で全コースを走っていることは明瞭だ。
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  • 1950, 宮本百合子, 私の信条:
    だけれども、現代のリアリティーとして、ナイロン王デュポンが、水爆王になりつつある過程は明瞭に理解する。
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  • 1951, 神西清, 少年:
    その打算のするどさを、やうやく本能が磨滅して、その不足を理性の力でおぎなふことに懸命な大人の打算にくらべてみれば、その質の上の差は一見して明瞭といはなければならない。
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  • 1953, 牧野富太郎, 植物一日一題:
    を馬鈴薯ではないと明瞭に理解している人は極めて小数で、大抵の人、否な一流の学者でさえも馬鈴薯をジャガイモだと思っているのが普通であるから、この馬鈴薯の文字が都鄙を通じて氾濫している。
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  • 1954, 服部之総, 黒田清隆の方針:
    しかるに、発表されたロンドン公債は年九分の利子でしかない――つまり、日本政府に無断で三分の利子さやを稼ぐこんたんであることが、この日はじめて明瞭になったのである。
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  • 1955, 三好十郎, 樹氷:
    人の歩く気配や、離れたところの雑音などがしているが、すべてのものが疲れはて、沈黙しがちで、遠くでアウンスされる声も沈んで明瞭さを欠く。
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  • 1956, 永井荷風, 或夜:
    然し實際は全くそれとは相違して、こゝより外に行きどころのない身である事は明瞭である。
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  • 1957, 久生十蘭, 肌色の月:
    この辺のところは簡単明瞭だ……捜査二課の追及は相当執拗だったから、さすがの大池も疲労してこんなトリックをつかって捜査を中止させようとした……自殺する場所はどこにでもあるのに、この湖水をえらんだのは、死体があがったためしがないという伝説を利用するつもりだったのだろう……幼稚だが、思いつきは悪くない。
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