Citations:辿る

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Japanese citations of 辿る

  • 1891, 巌谷小波, こがね丸:
    或日黄金丸は、用事ありて里に出でし帰途、独り畠径を辿り往くに、只見れば彼方の山岸の、野菊あまた咲き乱れたる下に、黄なる獣眠りをれり。
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  • 1906, 泉鏡花, 海異記:
    犬張子が横に寝て、起上り小法師のころりと坐った、縁台に、はりもの板を斜めにして、添乳の衣紋も繕わず、姉さんかぶりを軽くして、襷がけの二の腕あたり、日ざしに惜気なけれども、都育ちの白やかに、紅絹の切をぴたぴたと、指を反らした手の捌き、波の音のしらべに連れて、琴の糸を辿るよう、世帯染みたがなお優しい。
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  • 1908, 吉江喬松, 木曾御嶽の両面:
    これが秋の旅であるならば、夕風に散る木葉の雨の中を、菅笠で辿って行く寂しい味を占め得るのであるが、今は青葉が重り合って、谿々峰々尽く青葉の吐息に薫っている。
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  • 1909, 北原白秋, 邪宗門:
    今朝ははや林檎吸ひつつ霧深き河岸路を辿る
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  • 1910, 夏目漱石, :
    小六から坂井の弟、それから満洲、蒙古、出京、安井、――こう談話の迹を辿れば辿るほど、偶然の度はあまりにはなはだしかった。
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  • 1911, 森鴎外, :
    大勢の女の目が只一つの物に集注しているので、岡田はその視線を辿ってこの騒ぎの元を見附けた。
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  • 1914, 島田清次郎, 若芽:
    文壇の流行児、主人は若い時分の記憶を辿り乍らも紅葉露伴の名を思ひ浮べて居た。
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  • 1915, 徳田秋声, あらくれ:
    曲がりくねった野道を、人の影について辿って行くと、旋て大師道へ出て来た。
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  • 1918, 折口信夫, 幣束から旗さし物へ:
    と言ふ歌は、依然として、謎の様に辿られるのみであるが、根本には、山鳥の秀尾を矧いだ矢に、鏡をかけたと言ふ幣束が、古い日本にも行はれて居た事実を、潜めて居る様な気がしてならぬ。
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  • 1923, 淡島寒月, 梵雲庵漫録:
    幼い頃の朧ろげな記憶の糸を辿って行くと、江戸の末期から明治の初年へかけて、物売や見世物の中には随分面白い異ったものがあった。
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  • 1924, 豊島与志雄, 好意:
    吉岡は私の視線を辿って、障子の腰硝子から庭の朝日の光を仰いだ。
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  • 1925, 国枝史郎, 大鵬のゆくえ:
    日本橋から東海道を、品川、川崎、神奈川と駕籠と馬とは辿って行く。
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  • 1926, 甲賀三郎, 愛の為めに:
    親の方の関係、それから青年の友人関係と辿って見たが、最近赤ン坊をなくして悲嘆に暮れている家は見当らなかった。
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  • 1927, 渡辺温, 可哀相な姉:
    私はたえてない楽しい気持で家路を辿った
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  • 1928, 岡本綺堂, 鴛鴦鏡:
    去年の冬も乞食の焚火のために、村の山王の祠を焼かれたことがあるので、私は一応見とどける必要があると思って、野童と一緒に小さい石橋をわたって境内へ進み入ると、ここには堂守などの住む家もなく、唯わずかに社前の常夜燈の光りひとつが頼りであるが、その灯も今夜は消えているので、私たちは暗い木立ちのあいだを探るようにして辿って行くほかはなかった。
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  • 1929, 浜尾四郎, 殺された天一坊:
    でも、奉行様が、あの御奉行様でなかったなら、天一坊の運命は他の道を辿ったかも知れないのでございます。
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  • 1930, 平林初之輔, 夏の夜の冒険:
    私たちは、子供をカフェにあずけておいて、子供にきいた道を辿っていった。
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  • 1931, 橋本五郎, 撞球室の七人:
    係官の推理の跡を辿って見ると、これが他殺に間違いないから、犯人は明白以上にこの南洋の男でなければならない。
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  • 1933, 夢野久作, 木魂:
    それから大急ぎで湯を湧かして、昨夜の残りの冷飯を掻込んで、これも昨夜のままの泥靴をそのまま穿いて、アルミの弁当箱を詰めた黒い鞄を抱え直し抱え直し、落葉まじりの霜の廃道を、この踏切板の上まで辿って来たのであったが、そこで真白い霜に包まれた踏切板の上に、自分の重たい泥靴がベタリと落ちた音を耳にすると、その一刹那に今一度、そうした不吉な、ハッキリした予感と、その予感に脅やかされつつある彼の全生涯とを、非常な急速度で頭の中に廻転させたのであった。
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  • 1934, 杉田久女, 万葉の手古奈とうなひ処女:
    谷深くさぐる一宇は、永遠の芸術境を求める一つの私の心境をうたつた句であり、遠賀の長堤に青すゝきをかきわけかきわけ孤り辿りゆく句境涯も、生きゆく闘ひをこめた心の姿である。
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  • 1936, 岸田國士, 批評家・作家・劇場人:
    戯曲もそれに似た運命を辿ることをやがて警戒しなければならなくなるであらう。
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  • 1937, 戸坂潤, 思想動員論:
    かくて現下の日本の思想動員・文化動員・従って又言論動員が、特に半国権的・半官半民的・な通路を辿らずには行なわれないということは、注意しなければならぬ点だ。
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  • 1938, 坂口安吾, 閑山:
    さりとて病状は一途に悪化を辿るばかりで、人力の施す術も見えないので、附添ひの男は、暇あるたびに、坐禅三昧の和尚の膝をゆさぶつて、法力の試みを懇請するほかに智慧の浮かぶゆとりはなかつた。
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  • 1939, 岡本かの子, 河明り:
    東京の西北方から勢を起しながら、山の手の高台に阻まれ、北上し東行し、まるで反対の方へ押し遣られるような迂曲の道を辿りながら、しかもその間に頼りない細流を引取り育み、強力な流れはそれを馴致し、より強力で偉大な川には潔く没我合鞣して、南の海に入る初志を遂げる。
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  • 1940, 宮本百合子, 科学の常識のため:
    「科学の学校」もいよいよ終りに近づいて、著者コフマンは、何という簡明具体的な表現で、電気に関する人智の進歩のあとを辿っていることだろう。
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  • 1941, 野上豊一郎, パリの地下牢:
    彼女が十四歳の春ヴィーンからはるばるの旅路を辿ってパリに乗り込んだ時のきらびやかな楽しかった行列に引きかえて、これはまたなんという傷心な行列だろう! 馬車には一人の憲法司祭が付き添ってるきりで、前後は警固の騎馬に護られていた。
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  • 1946, 今井邦子, 誠心院の一夜:
    との御返り言を申上げたのが御縁で、世にも男らしい戀知る宮の大膽な御心深い御寵愛にまかせて行つた此の身、あの賀茂の祭の物見高い人垣の中を、きらびやかな裝ひをこらして宮と御同乘した車をねつて行つた身、それ程も戀の絶頂を辿り行つた自分が、宮の世をお去りになつた後の戀愛を思へば何もかも海の前の小川の流れにも等しいものであつたと云へよう。
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  • 1947, 海野十三, 千早館の迷路:
    帆村は春部を促して、島の側に渡って、こんどは右手に持った洋杖の先で壁を辿りながら尚も前進していった。
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  • 1949, 中井正一, 図書館に生きる道:
    この宇宙に対決するものにとって、一つの、そして、唯一つの驚きは、その中に、測ることのできぬ秩序が、厳しく、その道を辿っていることである。
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  • 1950, 阿部次郎, 三太郎の日記 第一:
    因果の連鎖を辿り行く儘に吾人の世界には新しい眼界も開けよう。
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  • 1953, 橘外男, 棚田裁判長の怪死:
    駅前の讃岐屋という旅館へ鞄を預けて、昔私が通っていた小学校や、その学校の前から街道続きで、昔の藩主の城跡や、仲間とよく遊んだ老松の海風に哮えているお城下の海岸や、私の家が住んでいた上小路の旧宅なぞへ道を辿ってみたのです。
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  • 1955, 邦枝完二, おせん:
    夢から夢を辿りながら、更に夢の世界をさ迷い続けていた菊之丞は、ふと、夏の軒端につり残されていた風鈴の音に、重い眼を開けてあたりを見廻した。
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